〜ベルヌーイの定理による古典的飛行理論の崩壊〜

これまで、飛行機はなぜ空を飛べるのか、あんなに重い金属でできた飛行機がなぜ空中に浮いていられるのか、と言う素朴な疑問に説明されてきた理論が「ベルヌーイの定理」であった。
ベルヌーイの定理とは、エネルギー保存の法則が、非圧縮性理想流体の定常流において成り立つという理論である。


(但し  v:対気速度 ρ:大気密度 p:気圧 g:重力加速度 z;高度)
と表すことが出来る。この式から対気速度vが大きくなれば静圧(pまたはρgz)が小さくなることがわかる。
  航空機の翼型は通常下図のように上面が膨らんだ形状をしており、翼前縁で上面と下面に分かれた空気が後縁で同時に合流するには、移動距離の長い上面の流速が速くなり静圧は下面より低くなる。したがって、圧力の高い下面から翼が持ち上げられて(圧力の低い翼上面から吸い上げられて)飛行機は空中に浮かんでいられるというのが従来の飛行の原理の説明であった。


 私も以前、飛行機がなぜ飛ぶことが出来るのかについて、以前このブログで書いたことがあったが、どうしてもベルヌーイの定理だけでは説明がつかなかったので、迎え角による空気力の反作用も併記したことがある。しかし最近では、ベルヌーイの定理による飛行原理の定説が覆りつつあることを知ったのである。私もベルヌーイの定理による飛行原理の説明には反対であるが揚力に寄与していることは否定はしない。我々が水平飛行をするとき、ピッチ・ゼロ姿勢で飛べる速度がある。その機体の巡航速度付近である。しかし、ピッチ・ゼロで翼上面と下面の圧力差で機体が浮いているわけではない、翼の機体に対する取り付け角が迎え角として存在している。ましてや、離着陸時の低速時にはとてもベルヌーイの定理では飛び上れない。ある試算によれば、軽飛行機セスナ機はせいぜい時速200キロそこそこだろうが、上下圧力差で飛ぶためには時速400キロくらいで飛ばなければならない、又ジャンボ機など半円形のような翼で、下面の1.5倍の長さが必要だと言われているが、そんなに厚いつばさではとても亜音速で飛行できない。
ベルヌーイの定理による揚力の説明では、揚力の一部に貢献しているとはいえ、機体を支える大部分は翼迎え角に比例する物理的作用力(風圧中心に作用する物理的空力力)によって支えられている。この考え方ではつばさは、下図のようにただの板切れの翼でじゅうぶんであり、空気の流れがつばさである板によって速度ベクトルが下方に転換される反力(空気力)によって飛行機は揚力を得ているという説明である。航空機のプロペラの断面はつばさに似ているが、ベルヌーイの定理により推力を得ているのではなく、プロペラピッチという迎え角によって空気を後方に加速する反力を推進力にしている、ヘリコプター回転翼の下方やプロペラ後方で強い気流を感じる原理と同じ働きをしているのが翼なのである。即ち、翼の迎え角によって強いダウンウオッシュを発生させる力の反力が揚力の大部分を構成しているというのが最新の飛行原理と言えよう。
過去にブログで取り上げたときは、当時の定説を尊重してベルヌーイの定理を主として書いたが、自分の飛行経験でベルヌーイの定理ではどうしても説明がつかなかった。たとえば、自衛隊でも使っていたF104J戦闘機など、非常に大きい翼面荷重にもかかわらず主翼は申し訳程度のカミソリのような厚みのない板切れでしかない。それでも離陸できるのは、ベルヌーイの定理では説明つかない。それは、迎え角による空力力とエンジンによる推力の垂直成分によるものであろうと見解を述べたことがあるが。私自身、航空機を操縦した実体験から厚みのある上方に膨らんだ鳥のつばさのような断面で説明されるベルヌーイ飛行原理論より、上図のような板きれが風圧を受け、その垂直成分で浮揚する物理的飛行原理論が圧倒的に正しいと確信している。実感として、機体の姿勢を変えるとき(ピッチ姿勢を変える)、翼上面の気流の速度がリニア―に変化するとはとても思えない。このことがベルヌーイの定理による説明に対する疑問の第一であるが、物理的説明の空力力は操縦桿による蛇面の変化量にほぼ比例することが容易に理解できる。又パワー(出力)を上げても、速度は加速せず垂直方向の昇降率だけが変わることも飛行機はパワーで空中を浮いていられることの証しであろう。即ち、飛行機が空を飛べるのは主翼がエンジン出力により空気を下方に搔き出す反力で浮いていられるということに過ぎない。飛行原理は竹とんぼの原理と同一であって、これまでベルヌーイの定理による説明が否定されてこなかったことが不思議な気がすると言うのが正直な感想である。


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