モラルハラスメントの加害者と被害者の性格行動の特徴2:自尊心・自分らしさを失う関係性

うつ病や適応障害が重症化して、外に出られなくなり死にたいという気持ちが強まっているような相手に対しても、『まだ歩けるし意識はあるから大丈夫(このくらいで死んだりするわけではない)・死にたいとかつらいとかいう人に限って死なないものだ・旅行にでもいってパーッと気晴らしするか・甘えているからそんなにやる気が出ないんだ』などの著しく配慮に欠けた冷たい発言をしたり、相手の病気の苦しみ・絶望を甘く見て大したことがないかのように揶揄したりします。

モラルハラスメントを予防する最大の方法は、『相手からバカにしても良い格下の人間だと思われないこと・どうせ何を言っても逆らったり別れたりできないだろうと軽く(甘く)見られないこと・不快なことは不快だからやめてほしいと強く自己主張すること』ですが、モラハラの加害者は『優しくて思いやりがある・責任感が強くて自分を責める・几帳面で生真面目・神経質で傷つきやすい・強く主張したり甘えれば言うことを聞いてくれる』などの性格特徴を持つ被害者を選び出す嗅覚に優れているところがあり、なかなか事前に予防することは困難です。

長期間にわたって言葉・態度・反応によるモラハラを受け続けていると、『相手は正しい(相手はやるべきことをやっている)・自分が間違っている(自分は最低限のやるべきことができていない)』という状況認識(自己否定感)を植えつけられやすくなり、『相手の機嫌を損ねないようにするにはどうすれば良いか・相手の要求や期待にどうやって応えていけば良いか』という従属的な行動選択しかできなくなっていきやすい問題があります。

その相手と一緒に付き合ったり生活(仕事)したりしているうちに、それ以前の『自分らしい性格や生き方、楽しみ方』が分からなくなり、『喜怒哀楽の感情』が麻痺していく(自分で自分の気持ちがどうなのかさえわからなくなる)ようであれば、モラハラの精神的被害はかなり大きくなっていると考えられます。

本格的なうつ病・適応障害・心身症にまで悪化する前に、お互いのコミュニケーションや関係性のあり方を見直してストレス・恐怖感・自責感を減らしていく必要がありますが、モラハラの特徴の一つは『相手への申し訳なさや罪悪感が強まる・相手が怒っているのではないか機嫌が悪いのではないかという緊張感(不安感)が強まる』というものです。

モラハラにしてもDVにしても、知り合った当初から精神的虐待をしかけてきたり、身体的暴力を振るったりしてくることはまずありません。出会った初めの頃はむしろ、自分のことを大切にしてくれる優しくて良い人に感じられたり、困った時には頼ってきてもいいよという器の大きさを見せてくれるような人だったりもするので、『関係を解消しづらいほどの親密さ・同居生活・婚姻』が成立するまでは、相手の本当の自己愛型性格や自己中心的な考え方(価値観)に気づけないことが多いのです。

モラハラの加害者になりやすい人は、『自己愛の強さ・共感性の弱さ・見捨てられ不安・支配欲求(強い独占欲・嫉妬)』などの性格特徴を持っていることが多いのですが、それらはお互いの好意だけが前面にでてくる付き合っている段階、いつでも別れられそうな状況の時には、逆にその人の『長所・魅力』のように感じてしまうことも多いのです。

気持ちが盛り上がっている恋愛の段階では、相手の短所や欠点、悪い部分に対しても、対人認知の補正効果が働きやすいのですが、それだけではなく『自分自身の心身の健康』が保たれていてストレス耐性もある時には、好きになった相手の多少の短所・欠点は気になりにくい(一時的・偶発的なものと認識してたまたまそういった態度を取っただけだろう、疲れていたり虫の居所が悪かったのだろうと良い方向に思い込む)ということもあります。

○自己愛の強さ……自己肯定的で自分に自信があって、引っ張ってくれる頼り甲斐のある人に見える。

○共感性の弱さ……感情表現が上手くできなくて不器用なところもあるけど、根は優しい人に見える。

○見捨てられ不安……自分のことが好きだからしがみついたり不安になったりするだけで、甘えてくる可愛らしい部分もある人に見える。

○支配欲求(独占・嫉妬)……好きな相手に対して独占欲を持つのは自然なことで、他の異性と親しくしていたらやきもちを焼いたり生活を束縛するのも、自分が好きだからと思い込む。愛情表現や嫉妬の感情が少しオーバーな人(それゆえに自分を裏切らない誠実な人)のように見える。

モラルハラスメントのきっかけになるライフイベントは『恋愛・就職・結婚・出産・親戚づきあい』などですが、自分と相手とが各種の事情・常識などで“簡単には離れられないような関係(多少の無茶をしても簡単に別れることができない間柄)”になったと思った時に、意識的にせよ無意識的にせよモラハラの言動が始まることが多いとされます。

恋愛・結婚などの特別に深い人間関係や会社(学校)での上下関係などがない相手に対しては、ほとんどモラルハラスメントの問題が起こることはありません。『心理的・経済的・制度的なしがらみ』がない赤の他人(相手)に対して、そういったモラハラの言動・態度をとったとしても、別にその人とずっと付き合いを続けなければならない義務・必然性がないので、ただむかつく人だと思われて逃げられるか、不快な言動に対してまともに反論・反撃される可能性も高いからです。

この記事は、『前回の記事』の続きの内容になっています。






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