『パコと魔法の絵本』

プロローグ
ここは、高台にある古いお屋敷。
一階はダンス教室になっていて、黒塗りの顔の男性の雄叫びが響く中、
大勢の主婦たちがハワイアン&タヒチアンのリズムに乗って踊っていました。
その屋敷の前に、ひとりの老紳士の姿がありました。
彼を迎えたのは、屋敷に住む青年です。
青年に案内されて二階の部屋に通された老紳士は、
一冊の絵本と一緒に仏壇に飾られていた強面の老人の写真を見て、
一言、こう言いました。

「お前が私を知っているだけで腹が立つ・・・・・この人の口癖でした」

そして、老紳士は語り始めたのです。

「とある病院での出来事です」


Impressions...
今年2作目の邦画です。
この映画は洋画のようなファンタジー映画です。こういう邦画はすごく珍しい!
まず色合い。ふんだんに使われいる彩色具合が、いっそう幻想的な雰囲気を醸し出しています。
ストーリーはというと、ドタバタ、ハチャメチャで子供が楽しめるような作りですが、大人も泣ける内容になっております。
そしてキャスティングは、ワールドワイドな俳優の役所広司に加え、『ザ・マジックアワー』の妻夫木聡、『さくらん』の土屋アンナ、インパクトのある演技がお馴染みの阿部サダヲなどなど、個性派ぞろいの役者が名を連ねています。
そして主人公のパコ役には、本作がデビューとなるアヤカ・ウィルソン。こんなかわいらしい子役は海外の子役俳優でも見たことがないくらいです。
この映画ぜひ国際映画祭に出品して欲しい一品でもあり、海外向けな感じもしました。

舞台は病院ではあるものの、登場人物には頑固な金持ち親父やオカマ、間抜けな消防士、ヤクザ、元天才子役、言葉遣いの悪い看護師に風変りな医者、変な人?などなどとまさにおとぎ話の世界です。そして昨日のことすら覚えていない女の子パコ、この奇妙なキャラクターたちと絵本の物語があいまって、繰り広げられる物語を是非、大人にも観てもらいたい映画です。

Highlight
 注目すべきは、やはり主人公パコを演じるアヤカ・ウィルソン。カナダ人とのハーフということで、その愛くるしい顔は、海外の子役俳優たちと比べてもビジュアル的にも演技の方も決して引けをとらないのではないでしょうか!
本作が映画デビューということもあり、早々に抜擢した監督には、思わず"あっぱれ”をあげたいきがします(いらんやろうけども…)

随所に泣かせるセリフも散りばめられており、涙線の弱い私などはもう途中からウルウルしっぱなしでした。笑いと感動がバランスよく構成されているのがこの映画の魅力でもあると思います。

また、豪華キャストが勢揃いしており、一見メイクで顔が分かりづらくなっていますが、個性派の俳優陣がそれぞれに適役になっています。そして隠れキャラクターも多数出演しております。本作の主題歌を歌っている木村カエラをはじめ、貫地谷しほり、彦摩呂、林家ぺー・パー子、そしてデヴィ夫人など多彩なゲストが潜んでいます。また冒頭シーンのタヒチアンダンスを踊っている中に原作の後藤ひろひとも出演しているそうですから、見逃した人も再度観るときには要チェックですよ!ちなみに私は彦摩呂と、林家ペー・パー子しかわからなかったです(笑;

Story...
そこには一風変わった患者さんが入院していました。大人の俳優に脱皮できずに人生をあきらめてしまった元有名子役の「室町」。消防車に轢かれた間抜けな消防士「滝田」。ジュディ・オング好きで噂話が大好きなオカマ「木之元」。銃で撃たれて入院してきた傷だらけのヤクザ「龍門寺」。よくわからないけどとにかくヘンな人「堀米」。さらには患者さんだけでなくお医者さんや看護師さんも負けず劣らず変わり者。ピーターパン気取りのお医者さん「浅野」。言葉遣いの悪いタトゥー入りの看護師さん「タマ子」。同じく顔はコワいがお金に弱い看護師さん「雅美」。その雅美の天然オトボケ亭主「浩一」などなど。
そんな中でも一代で自分の会社を築いた「大貫」は、チョーが付くほどの偏屈ワガママじじい。近付く人達に怒鳴り散らしては病院内でもやりたい放題。自分の思い通りにならないと、先生でも看護師さんでも誰彼構わず怒鳴り散らす始末。他の患者さん達は当然そんな大貫に誰も近付こうとはしませんでした。
 ある日、「パコ」という名のひとりめ少女が、一冊の絵本を抱えて大貫の前に現れました。しかし、大貫は無邪気なパコすらも自分が独占したいベンチに座ろうとしたというだけて、突き飛ばしてしまいます。翌日、不思議なことに、ふたたび会った大貫に対して、おじさんのことを知らないと言うパコ。大貫は大事な純金のライターをパコが自分の物のように持っていたことに腹を立て、ついにぶってしまいます。なぜ、パコは大貫のライターを自分の物のように持っていたのでしょう?実はパコは誕生日の前日に起こった交通事故の後遺症で記憶が1日しか保てなくなってのです。明日になると今日のことを全部忘れてしまうのです。しかも、その事故で両親を亡くしたことも知らずに、毎朝枕元に置いてある絵本をママからの誕生日プレゼントだと思って、毎日読んでいたのてした。だから、昨日拾ったことを忘れて、自分のポケットの中に入っていたライターを大貫に渡していたのです。
そんな女の子を大貫はぶってしまったのでした。さすがの大貫もこのごとを知って反省します。そして、大貫が昨日ぶってしまったパコのほっぺに触れたとき、驚くべきことが起こります。昨日のことを憶えていないはずのパコが大貫のことを憶えていたのです。医者の浅野はそればありえないと言いましたが、確かにパコは大貫のことを憶えていました。しかも触ったんじゃくて、ぶったというのに。絵本を楽しそうに読むパコの姿を見て、大貫は人生で初めての涙を流します。溢れでてくる涙に戸惑い、どうしたらこの涙は止められるんだ?と訊く大貫に、浅野は静かに“診断”してくれるのでした。
そうやってありったけの涙を流した大貫はパコのために何かしてあげられないか考え始めます。最近胸の発作が激しくなってきた大貫は必死に考えます。そして、病院で毎年サマークリスマスイベントとして行われる演劇でパコが読んでいた絵本「ガマ王子対ザリガニ魔人」をみんなで上演することを思いつきます。
ところが、病院のほかのひとたちは大反対。それもそのはず、それまでさんざんワガママ放題を尽くしてきた大貫にそう簡単に賛成してくれるわけがありません。特に室町は演技の経験があるにもかかわらず猛反対。でも、それまで誰の心にもいたくなかった大貫が、残りわずかな人生でパコの心に残りたい一心で、なんとかみんなの協力を得られるようになります。
そして、ついにサマークリスマスイベントの「ガマ王子対ザリガニ魔人」が始まります。
劇が進むうちにパコの目には絵本の中と同じ衣装を着たみんなが本当の絵本のキャラクターのように見えてきます。ワガママ王子のガマ王子。ガマ姫、アメンボ家来やミズスマシ君、タニシにサカナにメダカちゃん。ほんとは役になかったヤゴ。コワイコワイ沼エビの魔女に大きな大きなザリガニ魔人。さぁど一する? ガマ王子?!ど−なる? お池の仲間たち?!
でも、その舞台の裏で、ある運命がすぐそこまで来ていたのでした……。
【CAST...】
・Ayaka Wilson(アヤカ・ウィルソン)
1997年・カナダ生まれ
カナダ人の父と日本人の母のハーフ。3歳からモデルとしてCMや広告、雑誌などで活躍。本作が映画デビュー。
パコ役
交通事故の後遺症で記憶が1日しかもたない。事故で両親を亡くした悲劇も知らずに、ママの書き置きが残された絵本を愛読している。



・Koji Yakusho(役所広司)
大貫役
一代で会社を築いた大富豪。チョーが付くほどのワガママじじい。



室町役
自殺未遂で入退院を繰り返す元有名子役。
・Satoshi Tsumabuki(妻夫木聡)
1980年・福岡県生まれ
97年、『スタアオーディション』でグランプリを獲得。98年にTVドラマ「すばらしい日々」でデビュー。同年『なぞの転校生』で映画デビュー。以後、数多くのTVドラマ、映画で活躍。
『GTO』『ウォーターボーイズ』『SABU 〜さぶ〜』『さよなら、クロ -世界一幸せな犬の物語-』『ドラゴンヘッド』『ジョゼと虎と魚たち』『約三十の嘘』『ローレライ』『鉄人28号』『春の雪』『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』『涙そうそう』『どろろ DORORO』『憑神』『クワイエットルームにようこそ』『ザ・マジックアワー』『ブタがいた教室』『ノーボーイズ、ノークライ』『感染列島』など
タマ子役
ドクロとバラのタトゥーが自慢のヤンキー看護師。態度が大きく口も悪いが、室町を気遣うやさしい一面も。
・Anna Tsuchiya(土屋アンナ)
1984年・東京都生まれ
父親はロシア系アメリカ人。98年にモデルとしてデビュー。02年、ロックバンド "Spin Aqua"のボーカルとしてミュージシャンデビュー。04年、『下妻物語』で深田恭子とW主演に抜擢され、ブルーリボン賞最優秀新人賞をはじめとする映画各賞を8つ受賞。同年6月に結婚、11月に長男を出産。
『下妻物語』『茶の味』『ハービー/機械じかけのキューピッド』『バッシュメント』『アルバイト探偵』『嫌われ松子の一生』『どろろ』『さくらん』『それいけ! アンパンマン 妖精リンリンのひみつ』『カムイ外伝』など
堀米役
変幻自在の衣装で神出鬼没の、謎多き人物。なぜ入院しているのかも不明。KY。
・Sadawo Abe(阿部サダヲ)
1970年・千葉県生まれ
92年より松尾スズキの主宰する大人計画に参加。舞台を中心に数多くのTVドラマ。映画で活躍。95年からバンド「グループ魂」のボーカルとしても活動している。
『愛の新世界』『トキワ荘の青春』『F[エフ]』『ワンダフルライフ』『シングル・ブルー』『うずまき』『血を吸う宇宙』『日本の裸族』『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』『下妻物語』『北の零年』『真夜中の弥次さん喜多さん』『妖怪大戦争』『子ぎつねヘレン』『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』『アンフェア the movie』『舞妓Haaaan!!!』『ぼくのおばあちゃん』『YATTERMAN 〜ヤッターマン〜』『ぼくとママの黄色い自転車』など
・Ryo Kase(加瀬亮)
1974年・神奈川県生まれ
00年に『五条霊戦記//GOJOE』でデビュー。以後、独特の存在感で映画を中心に数多くの作品で活躍している。

浩一役
大貫の甥で雅美の夫。天然オトボケキャラ。

『ダンボールハウスガール』『みすヾ』『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』『ハッシュ!』『アカルイミライ』『壬生義士伝』『HAZAN』『アンテナ』『キューティーハニー』『茶の味』『誰も知らない』『パッチギ!』『スクラップ・ヘブン』『疾走』『ハチミツとクローバー』『硫黄島からの手紙』『それでもボクはやってない』『オリヲン座からの招待状』『めがね』『ぐるりのこと。』『犬と私の10の約束』『山のあなた〜徳市の恋〜』『グーグーだって猫である』『東南角部屋二階の女』『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』『重力ピエロ』『インスタント沼』など
・Eiko Koike(小池栄子)
1980年・東京都生まれ
98年にTVドラマデビュー。以後、女優としてTVドラマ、映画で活躍のほか、経済トーク番組のサブインタビュアーを務めるなど、活動は多岐にわたる。

雅美役
看護師で浩一の妻。夫にはよく噛みつく。

『小池栄子inドリフト・ウォーズ(激走!ドリフトウォーズ)』『BOM!』『模倣犯』『恋愛寫眞』『茄子 アンダルシアの夏』『下妻物語』『真夜中の弥次さん喜多さん』『男はソレを我慢できない』『接吻』『20世紀少年 第2章』など
・Gekidan Hitori(劇団ひとり)
1977年・千葉県生まれ
92年にデビュー後、00年に「劇団ひとり」としてピン芸人に。「陰日向に咲く」がベストセラーとなり、作家としての顔を持つ。

滝田役
消防車に轢かれた消防士。

『隣人13号』『アマレット』『まほらの☆』『嫌われ松子の一生』『7月24日通りのクリスマス』『どろろ』『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』『ストリングス〜愛と絆の旅路』『イキガミ』など
・Takaya Yamauchi(山内圭哉)
1971年・大阪府生まれ
84年、『瀬戸内少年野球団』で主演デビュー。01年に後藤ひろひとと川下大洋の劇団ユニット『Piper』を結成。

龍門寺役
傷だらけのヤクザ。銃が暴発して入院したというが・・・

『瀬戸内少年野球団』『NN-891102 D.M.T』『オイディプスの刃』『真夜中のマーチ』など
・Jun Kunimura(國村隼)
1955年・大阪府生まれ
カンヌ国際映画祭カメラ・ドール賞受賞作『萌の朱雀』(97)で主演をつとめ、日本映画に欠かせない俳優として多くの作品に出演。

木之元役
ジュディ・オングと噂話が大好きなオカマ。

『ガキ帝国』『二代目はクリスチャン』『ブラック・レイン』『さらば英雄 愛と銃撃の彼方に』『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』『トカレフ』『勝手にしやがれ!! 強奪計画』『セラフィムの夜』『野獣の瞳』『萌の朱雀』『秘密』『39 -刑法第三十九条-』『五条霊戦記 GOJOE』『オーディション』『Color of pain 野狼』『ミスター・ルーキー』『キル・ビルvol.1』『星に願いを。』『魔界転生』『釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!』『ALIVE』『月の砂漠』『半落ち』『海猿 ウミザル』『レディ・ジョーカー』『ゴジラ FINAL WARS』『ローレライ』『交渉人 真下正義』『花よりもなほ』『バルトの楽園』『日本沈没』『やじきた道中 てれすこ』『銀色のシーズン』『シルク』『隠し砦の三悪人』『チーム・バチスタの栄光』『神様のパズル』『イエスタデイズ』『K−20怪人二十面相・伝』など
・Takaya Kamikawa(上川隆也)
1965年・東京都生まれ
中央大学在学中の89年劇団集団「キャラメルボックス」に入団。95年、TVドラマ「大地の子」で主演し、以後、TVドラマ、映画などでも活躍している。

浅野役
風変りな医者だが、患者のことは真剣に考えている。

『東京夜曲』『ガメラ3 邪神覚醒』『梟の城』『スパイ・ゾルゲ』『ローレライ』『ALWAYS 続・三丁目の夕日』『隠し砦の三悪人』『私は貝になりたい』など
 FilmMakers
監督
・Tetsuya Nakashima(中島哲也)
1959年・福岡県生まれ
CMディレクターとして、木村拓哉がミュージカル仕立てで踊る「JRA」、「NTT東日本 ガッチャマン」、スーパースローモーション映像で一世を風靡した「サッポロ黒ラベル〜温泉卓球編〜」などの数々のCMヒット作を世に送り出す。映画への造詣が深く、『バカヤロー! 私、怒ってます 第二話 遠くてフラれるなんて』(88)で劇場映画監督デビュー。04年に満を持してメジャーデビューした『下妻物語』で、そのポップなビジュアルとリズミカルなストーリーテリングで日本映画界に新風を巻き起こす。
『夏時間の大人たち』『Beautiful Sunday』『下妻物語』『嫌われ松子の一生』など








最近の画像付き記事