10月10日 仙台市荒浜  ”卑劣!またも放火” 「再生を願う会」の活動拠点 全焼

現地再生を目指す住民グループ「荒浜再生を願う会」が活動拠点としている事務所が全焼した。事件があったのは昨夜10時すぎ、車で通りかかった人が火が出ているのに気付き通報した。広さおよそ30平方メートルの建物と、隣りあったあずまや合わせて70平方メートル余が全焼した。
会議用のいすとテ-ブルはじめ、パソコンや、写真を映写するプロジェクター、エアコン、冷蔵庫などの備品がすべて灰になった。
警察と消防の検証では、室内にあった石油ストーブの燃料タンクが引き出され、ふたが開けられていた。他に火の気はなかった。警察では放火という見方を強めている。

7月にも、ここから4キロメートルほど北の蒲生地区で、やはり現地再建を目指す「北蒲生のまちづくりを考える会」が活動拠点としている事務所が、放火とみられる火事で全焼した。いずれも室内を物色した形跡があるところから、住民たちの活動に反感を持つ人物の犯行とは考えにくい。
しかし、周りに人家がなく人の目がないことに乗じた卑劣な犯行だ。

「荒浜再生を願う会」代表の貴田喜一さん(70)の自宅跡につくられた建物は、「里浜ロッジあらはま」と名付けられた。人の気配が消えたふるさと・荒浜に賑わいを取り戻す、住民たちの活動の拠点となっていた。


写真;焼失前の「里浜ロッジ」と、灯ろうをつくるボランテイアたち(2015年8月)。
ロッジは昨年の6月から工事が始まり、10月に完成した。建築確認を取り、完成検査もパスした。建設費は貴田さんが私財を投じたが、基礎のコンクリート打ちは貴田さんと仲間が自力でやった。壁や、天井のペンキ塗りには支援の女性建築士グループなどが手を貸すなど、多くの人々の汗と想いでできあがったロッジだった。

住民たちの会議や、シンポジュームに使われていたほか、敷地内には震災前の荒浜の様子を伝える写真が展示され、訪れる人たちが被災の実態を学ぶ場でもあった。毎月1回は、賑わいを取り戻す「蘇生活動」のイベントも開かれていた。

明日はちょうど「蘇生活動」日にあたり、地域の清掃活動のあと参加者には手作りピザや芋煮をふるまう予定だった。また、懸案だった「ACOLLA(エイコラ)」の物品販売を始めることを決めた矢先のことだった。
頭文字にAがつく仙台市秋保地区の工人グループと、荒浜再生を願う会の協働事業=コラボレーションというのが、「ACOLLA」の意味。荒浜地区の材木や砂を使った木工品や、ガラス製品などのグッヅを明日から販売する計画だった。
明日に備えて預かっていた工芸品も灰になってしまった。なかには、漆塗りの高額な電気スタンドもあったという。
『明日は11日で「月命日」に当たる。亡くなった方々への追悼の想いを込め、いつもとは違った活動だと思っていた。地域再生の願いを踏みにじった犯行は許せない。ロッジを再建するのかどうかなどは、会のメンバーと話し合って考えたい』。いつもは快活さを失わない貴田さん、沈んだ声でこう話した。
卑劣な犯行には捜査を尽くすべきことは当然。また、震災直後から沿岸部の防犯に不安があることが指摘されてきた。人が住まなくなった地区にも、多くの事業所や工場がある。警察当局には防犯パトロールの強化を望む。(了)

BIGLOBEニュースロゴ

ニュースをもっと見る

最近の画像付き記事