佐藤松之進 その3



宮城県遠刈田新地の佐藤松之進さんの尺2寸8分桜崩し模様のこけしです。形態的にはやや縦長の大頭を、肩の張った細身の胴が支えており、友晴さんの木地ではないようです。口がやや上についているため、下膨れに見えます。まぶたの線にはやや弱いものが見えますが、全体としてはまっすぐ前方を、やさしく、しかも力強く見つめている美貌のこけしです。中でも、見所と感じるのは、桜崩しの花びらに見られる力強い筆の走りです。まさに躍動する筆の跡が見て取れます。丁寧にゆっくり描いていては、この筆の走りは出せません。無数に描いた手のみが描き出せる美でしょう。私としては、この松之進こけしで十分という感じを受けています。写真で見ていて受けた印象より、その存在感はずっと重いものでした。
底には、かが山の角印があり、東京こけし友の会の加賀山昇次さんの旧蔵品です。

制作年代は、昭和14年と考えています。この製作年にしては、みずみずしい活き活きとしたこけしです。勤めからの帰りに、2時間ほどプールに立ち寄り、ウォーキングを行っていますが、その最中にも早く帰って、このこけしに会いたいという気持ちになります。20数年ぶりの心理状態です。

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