嗅覚のための迷路とは、どんなインスタレーションですか?

Growing Reed   On Air 2015/02/01
Guest 上田麻希(匂いのアーティスト)

岡田「こんばんは、岡田准一です。今夜も始まりました、Growing reed。この番組では、毎週ひとつのテーマの専門家をお呼びして徹底的に質問。番組の終わりには、考える葦として僕も皆さんと一緒に成長したいと思います。
さて、今夜のゲストは、匂いのアーティスト上田麻希(うえだまき)さんです。上田さんは世界的な嗅覚アートのリーディング・アーティストとして日本国内はもとより、オランダ王立美術学校やロッテルダム美術大学で教鞭をとりながら、世界中で匂いにまつわる様々なアートを発表されています。実は、視覚よりもはるかに記憶に響くとも言われる嗅覚。今夜は、そんな匂い、香りについてお話を伺っていきたいと思います。 J-WAVE Growing reed、新しい一週間最初の60分、ぜひ一緒におつきあいください。」

   *   *   *

岡田「上田さん、さすがに…良い匂いしますね」
上田「あ、ありがとうございます(^^)」
岡田「(^^)…匂いの、でもアーティストっていうことですけども、」
上田「はい」
岡田「でもその…香水とかアロマを作っているとか、そういうわけではないんですよね?」
上田「そうですね、あの…元がビジュアルアーティスト…美術家なので、」
岡田「うん」
上田「あの…絵のように香りを美術館とかギャラリーとかで見せるというのを目的にしているんですね」
岡田「すごい難しくないですか?」
上田「(^^)」
岡田「その…においって、単純に言うと、説明がなかなか僕ん中では出来ないなっていうのがあるんですよ。味覚って、例えばなんか…ね、なんか…ワインとか飲んでもこう…芳醇な…スペインの…」
上田「うんうんうん」
岡田「なんとかって言う人もいっぱいいて、」
上田「はい」
岡田「味覚ってちょっとずつでもこう…説明出来るかな」
上田「そうですね」
岡田「っていう感じがするんですけど、嗅覚っていうのは…なんか懐かしい匂い、とか」
上田「はい」
岡田「ヘンに言うと臭いとか、いい匂いとか…」
上田「そうですね…」
岡田「そういう感じのイメージがありますけど」
上田「そうですね。まずその…においは、知覚をするのに意識をしないと意外に知覚が出来ないものだという…のもあるんですね」
岡田「うーん」
上田「他に意識がいっていると、全く…一応 においは鼻の中に入っていても、あると感じないっていうケースがあるんで。ま、食べ物は別にね、食べてるのが意識的に行われているから楽なんですけれども」
岡田「うん」
上田「美術館とかギャラリーで展示をするときに、まず匂いの展示であるっていうことを…演出するのに、…ま、結構 視覚的な要素も使ったりはするんですけれども、いろいろな工夫をします。例えば、香水瓶に入れて、香水ショップのように展示をして、そこで嗅いでもらうとか」
岡田「うーん」
上田「わりと知ってる物に近づけてやるんですけれども、でもそこで嗅がれる香りっていうのが、ただ単に癒しとか…アロマテラピーでよく言われるような効能とか、そういう癒しを提供するものではなくって…例えば美術館にですよ、味噌汁の香りのする香水瓶がありました(^^)」
岡田「うん」
上田「そういった感じで、ちょっとびっくりするような」
岡田「うーん」
上田「そういうサプライズを提供する。それで、嗅覚で何が出来るんだろうとか、そういうところを研究して、リサーチして、提示をして体験してもらうっていうのが私の仕事なんです」
岡田「なんか、嗅覚の迷路みたいなのがあって、」
上田「はい」
岡田「いろんなのを吊るしてて」
上田「はいはい、そうです」
岡田「同じ匂いがするのが、繋がるようになってるから、匂いを探して行くみたいな」
上田「はい」
岡田「インスタレーションをやられてるって…」
上田「はい。あれみたいに…ま、ちょっとゲーム性を持たせるということもよくやりますね」
岡田「うーん」
上田「実際、嗅覚の迷路は今度インドで…本当に壁で、本当に迷路で、仕切って道が分かれていて、みたいなのを作ろうと思ってます(^^)」
岡田「へぇー。ちょっと大きめのやつで」
上田「はい」
岡田「こっちの匂いが…おんなじ匂いだからこっちが正解…」
上田「こっちに行こうとか(^^)」
岡田「正解なんじゃないかって…」
上田「そうです、はい(^^)」
岡田「へぇー」
上田「で、そこに行けないと…それが正しくないと、ゴールまで辿り着かないという迷路を作ろうと思っています」
岡田「うーん。日常の物から匂いを抽出するっていうのは…これはどういうことですか?」
上田「えーと…抽出をよく行われているのは、アロマテラピーなんかで言うと、例えばミントの精油とか」
岡田「うん」
上田「ユーカリの精油とかあるんですけれども、そういうのは私たちはよく知ってるんですけど、同じテクニック…蒸留法なんですけど、それを用いて…例えば、味噌汁をですね、フラスコの中に入れて蒸留をするんですね。そうすると、香りだけが取れるんですよ」
岡田「へぇー」
上田「透明な液体が取れて、それがまぁ、普通のパヒュームボトルで、パフッてやると、味噌汁の匂いがします(笑)」
岡田「(笑)。そういうのを抽出…いろんなとこから抽出…」
上田「実験的にいろいろやりましたね。あの…それこそ、味噌汁みたいな日本の日常の香りから、」
岡田「うん」
上田「ま、例えば…汚い話ですけど、生ゴミのごみ箱からも出したりとか…あるいは、人間の汗からも出していますし、」
岡田「うん」
上田「あとは…例えばカーテンの匂いとかね…」
岡田「うーん」
上田「部屋のカーテンの匂いとかもやりましたし。」
岡田「汗っていうのは、」
上田「はい」
岡田「それはフェロモンみたいなことに繋がって行くんですか?」
上田「多分、そうだとは思います。」
岡田「うーん」
上田「あの…ただね、あの…7人のダンサーの体臭を…」
岡田「どうするんですか?踊ってもらって…」
上田「踊った人の、その衣装を踊った後にもらって、汗を抽出してっていうのをやったんですけれども」
岡田「へぇー」
上田「やっぱりあの…好き嫌いがありますね、嗅がせた人によっては。」
岡田「あ〜」
上田「これが好きとかこれが嫌いとか」
岡田「合う合わないとか」
上田「ありますね、うん。で、やっぱり…男性の中でも年を召した方だと、若い男性の匂いは、これは匂いが無いって言うんですよ」
岡田「うーん」
上田「でも、若い女性のダンサーのであれば、うん、良い匂いじゃん。みたいな(笑)」
岡田「へぇ〜」
上田「それが、男女逆ですと…おばあさんも、」
岡田「うん」
上田「若い男性ダンサーの香りは、ああ良い匂いって言うんですけど、女性ダンサーの香りは香りしないって言うんですよね」
岡田「それはなんでですか?通り過ぎたから?」
上田「(笑)」
岡田「(笑)、」
上田「きっと人間の、生存本能とか」
岡田「へぇー」
上田「もちろんフェロモンとかも含めて、何かそういのがあるんではないかとは思うんですけど、もちろん私たちは科学的なところまではやっていないので、現象としてそういう…自分の実験結果としてはあります」
岡田「でも動物って、やっぱにおいって…まず大事にする感じじゃないですか」
上田「はい」
岡田「人間よりは鼻がずっと良くて」
上田「はいはいはい」
岡田「まず犬とかは…近づいて行って、まずにおいを嗅ぐっていうのを…」
上田「うん、そうですね」
岡田「しますよね?」
上田「はい」
岡田「だからなんかこう…動物的感覚なんですかね?においっていうのは」
上田「そうですね。ただ、あの…私たちのこの現代の生活では、やっぱり目からの情報が圧倒的に強くて、」
岡田「うん」
上田「嗅覚が行動を左右するっていうことは殆ど無いと思っています」
岡田「うーん」
上田「でなければ…あの…例えば、この人すごい好きとか言って、人前も…なり振り構わずキスしたりとかっていうことがあり得てしまうんですよね」
岡田「うーん」
上田「でもそういうのって絶対ないですよね?日常ではね?見ず知らずの人に近寄って行ってキスをするみたいなことはないわけで、」
岡田「うん」
上田「そこはやっぱり、行動を制しているのは人間の理性であり…」
岡田「うーん。じゃあ鼻がメインの…人間の中ではやっぱり、一番五感の中では使われているのが目だとしたら、」
上田「はい」
岡田「鼻が一番メインな器官になっていたら…急に行って…」
上田「しっちゃかめっちゃかに(笑)…」
岡田「急に行ってキスして、みたいなことが…」
上田「あるんでしょうね」
岡田「あった可能性があるってこと(笑)」
上田「そうそうそう」
岡田「へぇー」
上田「動物のフェロモン…動物の所謂フェロモンってのはそうですよね?カイコガとか…蛾なんていうのは、それを嗅ぐと、もう交尾をしなきゃいけないらしいです」
岡田「あー。嗅いじゃったら」
上田「もう考えずに。うん、嗅いじゃったらもう命令なんですって」
岡田「へぇー。ま、生存…生き抜くための、」
上田「そうですね」
岡田「子孫を残すっていうことが第一前提である、生き方っていう」
上田「そう」
岡田「ことですよね?」
上田「なので、フェロモンっていう言葉も、何をフェロモンと捉えるかによって、やっぱり学者さんによっては見方が全然違いますね」

   *   *   *

岡田「その匂いによって、上田さんは何を気づいてほしいんですか?その…もともとなんでそんな匂いに行ったんですか?」
上田「(笑)」
岡田「(笑)…私は匂いを勉強したいし、匂いをアートとして表現したいって…思ったんですか?」
上田「そうですね…最初の動機としては、多分、あの…出産があると思うんですけど、」
岡田「うーん」
上田「子供を産んで、あの…やっぱりこう…いろいろ変わるんですよ、多くの妊婦さん…お母さん、」
岡田「うん」
上田「言うんですけれども、やっぱり本当に…あの…嗅覚が敏感になるし、」
岡田「うん」
上田「産んだあとも子供との繋がりがもう、においの…もう…なんて言うんですかね、本当に深い繋がりがあるんですね、赤ちゃんとの」
岡田「へぇー」
上田「それこそフェロモンなんですけど、その時っていうのは、人間の、女性の、一般的なホルモン状態ではないので、」
岡田「うーん」
上田「そういったのを経て、まぁ…やっぱり嗅覚って、日常は非常に忘れられていて、でも意識してみると、面白いことが結構あるんじゃないかっていうので、まず意識するところから始めました。匂いに意識を向ける」
岡田「うん」
上田「で、嗅覚に意識を向けるで、自分のリアクションに意識を向ける。それで、えーと…1個ずつ作品を作っていって、8年ぐらい経つんですけれども、」
岡田「うーん」
上田「次から次へと、面白いものがどんどんどんどん次から次へと展開していくので」
岡田「これは一番面白かったなっていう発見っていうのは何かあったんですか?その…作っていく上で」
上田「ああ、意外に人間って、犬みたいにその…目を瞑ってクンクンクンクンやって、方向が嗅げるんだなみたいな」
岡田「へぇ〜、分かるんですね」
上田「意外にありますね、そういう特性が。人間にもね」
岡田「うーん」
上田「でも苦労しますけれども。あの…嗅覚の迷路っていうのは、そういった部分をフォーカスして、特に作っているものですけれどもね」
岡田「うん」
上田「本当は目隠しして入ってください。みたいな(笑)」
岡田「(笑)フッ…そうですよね」
上田「うん(^^)」
岡田「世界各国でこう…やられているじゃないですか」
上田「はい」 
岡田「なんか違いとか…日本人はこうだったなとか、オランダではこうだったんだよな、みたいな…反応とかの違いとかってあるんですか?」
上田「かなりありますね。あの…ヨーロッパでの展示になると、所謂…やっぱり香水の文化がすごく強いので、」
岡田「もともとそうですよね」
上田「はい。なので、非常にその…これは何の匂いかっていうことが問題にされがちですね」
岡田「主成分みたいなことですか?」
上田「成分とか、えーと…なんの香水かとか。つまり香りを物として捉えているんだなっていう感覚があって、」
岡田「あー」
上田「でも日本だと、なんかこう…皆…フワッと体験するんです。景色のように見ているというか。例えば、四季の移り変わりをキンモクセイで感じたりとか、」
岡田「うん」
上田「そういった日本人の感性っていうのは、他の国には無いみたいで」
岡田「へぇ〜」
上田「香りをその…えーと…メディアとして、情報として捉えていて、所謂その…景色、情景として、その香りのシーンを捉えているんですね」
岡田「じゃ、なんか…香りの説明って僕、難しいなと思っているんですけど、世界の他の国の人は、わりと説明が出来るっていうことなんですかね?」
上田「そうですね」
岡田「あ、…そうなんですね」
上田「これはナントカの香りだとか、かなりそういったシャープな説明を求めるし、するし…」
岡田「へぇ〜」
上田「でも日本だと、なんとなくこの景色みたいな、この情景とか、そのシーンとか、オケージョンなんです」
岡田「そうですよね。懐かしい匂いとか」
上田「とかそういう感じです、そうです。懐かしい匂いっていう言葉が、まず英語でちょっと思い浮かばないですね」
岡田「あー、そっか…」
上田「言われたこともないですね」
岡田「具体的なものじゃないと…」
上田「なんかちょっと…ラベンダーの香りがおばあちゃんの香りを思い起こさせる、ぐらいしか聞いたことがないんですけども」
岡田「(笑)…へぇー。…そうですね…」
上田「うん」
岡田「そっか…日本人って僕ら…匂いに鈍感なんですかね?」
上田「鈍感であり敏感であり…あまりその…何の匂いかっていうのは、あまり気にせずに、すごく感覚的に匂いを楽しむ民族なんじゃないかなと思います」
岡田「うーん…」
上田「でも、意識的にという部分では、あの…香りをゲームに仕立てたのは日本人だけですし。香道というあの…五百年千年続いている伝統があるんですけど、茶道の香りバージョンなんですね」
岡田「はいはい。ありますよね」
上田「うん」
岡田「木の…あれで…」
上田「そうですね」
岡田「匂うとかね」
上田「戦国武将などが(^^)」
岡田「(^^)」
上田「香道などであの…」
岡田「そうそう。持ち歩いて…」
上田「ちょっと癒しの。そう、持ち歩いたりもしてましたし、」
岡田「うん」
上田「最後の瞬間は…髪を匂いで焚いて、最後の戦に出て行くみたいなシーンもありましたし、」
岡田「はい」
上田「なんかこう…香道が、日本に一応…ルートを辿ると千年以上前からみられるんですけれども、香りを当てるゲームをするという、そういうすごく…繊細なゲームなんですけれども、」
岡田「うーん」
上田「そんなことをするのは他の国ではないです」
岡田「そうですよね」
上田「はい」
岡田「武道とか、そういうので言うと、」
上田「はい」
岡田「やっぱ呼吸が第六感を開く鍵っていうので、」
上田「あー、はいはいはい」
岡田「やっぱ匂いとか呼吸とかっていうのが、その…なんだろう…開発っていうか、」
上田「うん」
岡田「新しいこう…敏感に自分をしていくための鍵だって言われる…」
上田「うんうんうん」
岡田「ものとかであるのが日本にね、ずっと昔からあるぐらいですからね」
上田「はいはいはい」
岡田「やっぱなんか…鍵なんでしょうね、鼻の…匂いというか、呼吸と繋がってる匂いみたいなのが」
上田「あー。そうですね、あの…呼吸で言うと、確かに香道をやってるときの、呼吸の仕方…『聞く』って言うんですけど、聞香(もんこう)って言って、香りを聞くっていうふうに書くんですけど、」
岡田「うん」
上田「あの…英語にすると、listen to smell みたいな(笑)」
岡田「(笑)…なんか…繋がんないですよね?聞く匂いみたいな」
上田「外国の方からすれば、何なの?それ。っていう感じの感覚じゃないですか」
岡田「うん」
上田「でも私たちからすれば、香りを聞くって…なんとなく分かるじゃないですか」
岡田「そうですよね」
上田「感覚として、呼吸を静かにして、こう…」
岡田「そうですね」
上田「そこから語られるものを、自分を受け身にして」
岡田「うん」
上田「受け取るっていうような姿勢ですよね」
岡田「自然信仰の流れが」
上田「そうです」
岡田「日本人にはあるから。そういう感覚っていうのは…ね」
上田「そうですね」
岡田「深く持ってるものですけどね」
上田「うん」

   *   *   *

岡田「そう考えると、やっぱ深いですね、においって」
上田「(^^)」
岡田「ね。…説明できるようになりたいなって思いますけどね」
上田「何かあの…逆に、特にこういった体験でとかあるんですか?」
岡田「においって、覚えてるっていうのが、一番こう…説明できないくせに、記憶に一番残っているというか」
上田「あ〜」
岡田「フッと嗅いだときに、10年前のこの時のこの匂いだ、とか。」
上田「うん」
岡田「この人の匂いだとか」
上田「うんうん」
岡田「ていうのってフッて覚えてるっていうか、思い出すというか」
上田「うんうんうん」
岡田「でも10年前に食べた美味しい物の食べ物って思い出せないっていうか」
上田「うんうんうん」
岡田「それは不思議だなと思いますけどね」
上田「言葉からは思い出せないんだけど、嗅いだ時にフッとその瞬間に…」
岡田「記憶がカッて出て来るんですよね」
上田「そうですよね。うん」
岡田「それがやっぱ面白いなと思いますけどね」
上田「うん。ずっとそこの記憶に残っているっていうことも凄いですしね」
岡田「なんかこう…記憶がまとまって飛び込んで来るじゃないですか。こう…人物だったりとか」
上田「そうですね」
岡田「思い出だったりとか」
上田「うんうんうん」
岡田「それが凄いなぁとは思いますけどね」
上田「そうですね」
岡田「なんかいろいろ持って来てくださってるみたいで」
上田「はい」
岡田「それ何ですか?」
上田「そうですね…今えーと…石垣島にアトリエを持ってるんですけれども。で…石垣島の土の香水というのを作りました」
岡田「へぇ〜。石垣島の土の香水?」
上田「はい」
岡田「匂うんですか?その前に」
上田「(^^)フフフフ…」
岡田「あの…そんなに深く匂うんですかね?土の…」
上田「あの…土の香りって、」
岡田「うん」
上田「えーと、これはね、あの…まぁ、私が昔 住んでたオランダのロッテルダムの土なんですけど、」
岡田「はい、なんか…土の塊が、ねぇ」
上田「実際は…多分、もう開けてみて分かる通り、匂わない…ですね」
岡田「…あ、でも、まぁ…」
上田「少し」
岡田「少し…良い匂いが…香りの良い…土の」
上田「ここに、水をパッとかけると、」
岡田「うん」
上田「土の香りというのが…するんですよ」
岡田「……ああ、ほんとだ。水をかけると変わるんですね、また」
上田「そう、雨が降ったときって、パッと…」
岡田「あ、匂いがね」
上田「上ってきますよね?その香りを、香水化したものなんです」
岡田「う〜ん」
上田「で、これは、あの…ロッテルダムなんで、汚染されまくった町です。ドイツのライン川の下流に位置していて、」
岡田「(笑)」
上田「そこのアートセンターのコミッションで、ロッテルダムの土の香水を作ってくれということなんで作ったんですけれども」
岡田「へぇー」
上田「これは、石垣島の…まぁ、美しい自然の香りなので…赤土なんですけれども…」
岡田「はい…んん?これ土の匂いですか?」
上田「えっとですね、白檀(びゃくだん)っていうサンダルウッド…線香に使われる香木があるんですけど、それをベースにしているので、ちょっと香水っぽくなっています」
岡田「あ…あ、でも、いる」
上田「うん、うん」
岡田「土が。土がいますね」
上田「うん、土がいますね、ちょっとザラッとした匂いなんですけれども」
岡田「うん」
上田「これが…まぁあの、比べると分かるのは、この…ちょっと…最初ツンと…」
岡田「これがロッテルダムのほうですね」
上田「はい」
岡田「…あっ、ほんとだ…」
上田「(^^)ちょっとツンとしますね」
岡田「ちょっとなんか…あんまり…」
上田「あんまり嗅ぎたくないみたいな」
岡田「な、においしますね」
上田「はいはいはいはい。プランクトン…の、多分、死骸とかのにおいじゃないかなと思います。プロテインの腐った系のにおいですよね」
岡田「うーん」
上田「石垣島のこれ、河原で採ってるんで、すごくきれいな清流だし、」
岡田「うん」
上田「でもあの…土のザラッとした、ドライな温かい香りが…」
岡田「うん、なんか太陽のね、」
上田「太陽のそうですね」
岡田「いっぱい当たってる…なんか…温かい匂いがしますけど」
上田「そうですね」
岡田「ロッテルダムのほうは、ね?」
上田「(笑)」
岡田「匂いでこう…言われて、ねぇ?勉強して嗅いでいくと、全然違いがあって、」
上田「はい」
岡田「すごいですね?匂いの中にも…」
上田「鼻、敏感でいらっしゃいますよね?おそらく」
岡田「あ、ほんとですか?」
上田「うん。おそらく、ちゃんとこれが嗅げるというのは、男性では…」
岡田「珍しいですか?」
上田「良いと思います(笑)」
岡田「(笑)。男性はやっぱり…ちょっと鈍感なんですか?基本的には」
上田「そうですねぇ、やっぱり…30、40、50ぐらいになってくると、」
岡田「うん」
上田「あの…人によってすごく分かれていきますね。あの…嗅ぎたくないっていう人がやっぱり出て来ますよね。においなんて」
岡田「ああ、まぁね…」
上田「そうなると、どんどんどんどん使わなくなるので、嗅覚も衰えていってしまうという」
岡田「うーん」
上田「でも女の方は、皆 興味を持って…もう興味持って貪欲に嗅いでいきます。」
岡田「う〜ん」
上田「なので、多分、それが維持されるっていう」
岡田「うーん」
上田「あと、料理と関係があるんで。やっぱり…料理する方は、嗅覚は鋭いし、」
岡田「あ、そうなんですね」
上田「はい」
岡田「鼻って一番バカになるって言わないですか?鼻って慣れるっていうか…すごい臭いとこに居てても、すぐ慣れるじゃないですか」
上田「慣れますねぇ、うん…そう」
岡田「ね。でも、それだけこう…バカにならないと耐えられない器官…」
上田「でしょうね」
岡田「なんでしょうね」
上田「そうなんでしょうね、うん」
岡田「きっと」
上田「そうですね。だから次から次へと、ほんと3秒ぐらいだと思いますね。」
岡田「うーん」
上田「意識に残って消えてって、ていう…」
岡田「うーん」
上田「意味では。うん」
岡田「儚いですね(^^)」
上田「いや、もうその時、その瞬間…ですよね」
岡田「うーん」
上田「それが面白くて続けてるのもありますけれど」
岡田「あー」
上田「うん」
岡田「そっか…ちょっとバカにならないと、耐えられない器官なのかも」
上田「そうですね」
岡田「敏感すぎて」
上田「そうそうそう。実際本当に…」
岡田「なんかいろいろ、繋がり過ぎて」
上田「そうですね、うん」
岡田「うーん」
上田「多分、実際なんですけど、人間の体臭とかも、本当はすごい臭いんだと思うんですよ。あの…犬とか他の動物からすれば、人間は雑食なので」
岡田「うん」
上田「相当臭い生き物じゃないかと思います。私たちずっと自分たちのにおい…嗅いじゃってるから分からないだけで」
岡田「うん…」
上田「うん」
岡田「そっか…」
上田「(笑)」
岡田「相当…いろんなもん摂取してるし」
上田「そうですね、雑食っていうことは…うん、相当臭い…」
岡田「
上田「じゃないんですかね。あの…動物を臭いとは言っていられない…」
岡田「そうですよね…」
上田「ぐらい、臭いと思います(^^)」

   *   *   *

岡田「匂いをこう…突き詰めていくと、何が見えてくるっていうふうに…思われてるんですか?」
上田「そうですね…私は、その匂いを通して、やっぱり…別なレイヤーがこの世界にあるんだなみたいな」
岡田「うーん」
上田「やっぱり今 話していた延長なんですけれども、立ち上って来ては消えていくっていう意識があって、」
岡田「うん」
上田「それに、ちょっと意識をずっと向けているとですね、結構面白いんですよ(^^)、街をちょっと歩くだけでも、次から次へと…」
岡田「へぇー」
上田「展開するっていうのが面白くて、」
岡田「うん」
上田「もう意識的にならなければ、目で見る物が主な情報になってくるんですけれども、それをちょっと鼻に…こう…ここの…ね、クンクン…」
岡田「クンクンね」
上田「やりながら、歩いて行くとですね、ちょっと違う世界に見えますね」
岡田「へぇー」
上田「で、汚い香りも綺麗な香りも、もちろんあるんですけど、街にはね」
岡田「意識していくと全然違うんでしょうね」
上田「はい。一日それで生きてみると面白いです」
岡田「へぇー」
上田「(笑)」
岡田「僕、美味しい匂いぐらいしか、なんかこう…嗅ごうとしてないんだと思うんですよね」
上田「(笑)」
岡田「(笑)、普通のね…なんか美味しそうな匂いだなとかぐらいしか…あんまり匂いで考えたこと最近なかったんで…」
上田「あー」
岡田「ちょっと…スンスンスン…」
上田「美味しい匂いもね、あの…お腹空いてるときはすごい…敏感になりますよね」
岡田「そうですね」
上田「はい」
岡田「…ちょっと嗅いでみます。」
上田「(笑)」
岡田「じゃあですね、最後になりますが、上田さんがこれから挑戦したい…こと」
上田「挑戦したいこと。まぁあの…アーティストととして…ま、今 嗅覚のアートっていうのが世界で流行りつつあるところなんですね」
岡田「うん」
上田「で、その中でも、私はわりと…始めて最初のうち…パイオニア的な…」
岡田「うん。リーディングアーティストですよね」
上田「存在な…まぁ、そう言ってしまうとカッコイイんですけれども、とにかくあの、経歴が長く、次から次へと新しいものを作るということをやってるだけに過ぎないんですけれども」
岡田「うん」
上田「それを続けていきたいっていうのと、この嗅覚のアートを教えていきたいっていうのと、」
岡田「うん」
上田「あとは、あの…本当にざっくばらんに香りについて楽しめるようなアトリエを作りたいなぁと」
岡田「うーん」
上田「今は実際 石垣島にアトリエを持っているんですけれども、」
岡田「うん」
上田「そこに、誰でもですね、観光客でもどなたでも来て、そうするとこう…草花の…いろいろな香水の原料となるガーデンがあってとか、カフェ…香り中心の食事が出来るカフェがあってとか」
岡田「うん」
上田「あとはワークショップ…香水を作れるワークショップのアトリエがあってとか。そこに行けば、香りの…香りに囲まれて一日が過ごせるみたいな場所を作りたいなぁと思っているんですね」
岡田「うーん。いいですね」
上田「(^^)」
岡田「行きたくなりますね」
上田「うん(^^)、ぜひ、あの…今度いらしてください」
岡田「はい、ぜひ…楽しみにしてます」
上田「はい」

   *   *   *







岡田「J-WAVE Growing reed、匂いのアーティスト、上田麻希さんにお話をお伺いしてきました。ということで、匂いねぇ…匂い、すごい、深いんですよね、多分ね…。なんかあの…匂いの晩餐会っていうのをね、やってるみたいで、なんか目隠しして、ご飯とか匂いを嗅ぎながら…やっていってるみたいなんですけど。でも、ほんとに匂いって、なんか嗅がないと味覚も…ね…食べた物の味がしないとかっていうのがあるぐらいの…大切なものですし。うん…匂いとかはね、こう…突き詰めていくと、面白い世界が…待っているのかなとも思いますし。…ね。でもあんまり匂いが敏感過ぎると…生きるのも大変なね?衝撃的な…一番五感の中で強いんだろうなと思いますし、うーん…なんか深いんだろうな…。日本では呼吸とかめっちゃくちゃ大事だっていわれますし。でも、なんか日本の文化の、『聞く』っていうのもね、匂いを…聞くという…そういう話も面白かったですし。うん…なんかね…。僕、あの、ちっちゃい頃、“くんくん”って呼ばれてたんですよ。あの……姉ちゃんに…姉ちゃんにだけなんですけどね。あんまりここで発表するのは恥ずかしいですけど。あの…准くんっていうのが、准くんくんくん…くんくんつって、“くんくん”って呼ばれてたんですよ。なんか…(笑)、恥ずかしいです、すいません。勝手な縁を感じて…今日は、楽しかったです。」






〜TRACK LIST〜

『I LIKE IT』 MICHAEL CARREON FEAT.JOYCE WRICE
『SMELLS LIKE TEEN SPIRIT』 PAUL ANKA
『EGGSHELLS』 AQUALUNG FEAT.LIANNE LA HAVAS
『くだらないの中に』 星野源
『MO' BETTER BLUES』 SOIL AND PIMP SESSIONS
『LA VIE EN ROSE』 GRACE JONES

最近の画像付き記事