協同労働フォーラム―一点突破はないがはずせない一点


 
一点突破はないがはずせない一点

 筆者が事務局長を務めるNPO法人障害者の職場参加をすすめる会は、地元で「仕事おこし懇談会inこしがや」という集まりをもっているが、そのきっかけは2012年全国協同集会が埼玉で開かれ、そこに招かれて参加したこと。地域でも暮らしの中から共に働く仕事を創り出してゆこうと上記懇談会を立ち上げた。ワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ、そして当会のような障害者団体や市民団体が参加した。

それぞれが取り組んでいる事業をつなげることで、さまざまな働きづらさを背負わされた人々が他の人々と一緒に地域を創ってゆく事業を共同でめざすべく細々と続けてきた。現在のところ、各々ができる範囲で関わって続けている活動として、他の団体、事業主等に呼びかけて立ち上げた越谷・にぎわいの会が開催する毎月第2火曜日の越谷・水辺の市がある。

 このほど、協同労働の協同組合法案が国会に上程されそうな状況の下、地元のワーカーズコープから協同労働フォーラム参加の呼びかけがあった。関心は十分あったが、私たちは、翌週末に共同連マラソントークが、ワーカーズコープとの連携で開催される予定であり、そちらへの参加準備を進めていたので、かねてよりおつきあいの深い傳田さんに協同労働フォーラムに参加し、報告をいただけないかとお願いしたところ、快く引き受けてくれた。

 いま政府は「働き方改革」を打ち出し、これまでの労働法制を「岩盤規制」とみなして破壊することが労働生産性につながり、大企業が国際競争に勝つために不可欠だと考えている。それに対して、協同労働の協同組合や社会的事業所を対置して、働きづらさを背負わされた人々の生活実感やエネルギーを結集し、地域の暮らしをつなげ支える事業を創り出してゆく必要性は、ますます大きくなっていると思う。

 と同時に、筆者は労働法制の「岩盤」の前で背水の陣を布いてブラックな企業現場で闘い、少しでも働きやすい職場を創りだしてゆこうとしている人々、あるいは地域の文化や風景を育んできた仕事の消滅の危機を、住民の関わりで再生していきたいと試行錯誤している零細な生産者たち、そして同じ地域にはいても家や施設・病院に細かく分け隔てられて他の人々と出会うことがない人々、それぞれが出会い、せめぎあい、共に生き、ともに働く道を探ることなしには、協同組合的な労働制度自体成り立たないと考えている。

 一点突破はありえない。しかし、この一点をはずすことはできない。

 というわけで、以下に傳田さんと彼女の誘いで一緒に参加してくれた若尾さんの文章を、そのまま掲載させていただく。写真も傳田さんより。




協同労働フォーラム感想

・議員の紹介がありビックリ。午前中立憲の集まりがあり、そこで名刺交換した大河原さんが舞台に立って挨拶。1日も早い法制化に尽力するとのこと。

・ワーカーズコープ理事長古村氏の基調講演。「出資して労働できる」「お上のお墨付きをもらわなくても届け出をすれば設立できる」「組合がいくつか集まり連合体を作り、常に自浄作用を機能させる」「労働組合は作れるが組合ができた時点でその組織は失敗」というような協同労働の基本を知る。その上で現社会の様々な関係性の危機に言及され、だからこそ今法制化が必要ということを話された。そうした危機に関しては私も常日頃感じていることなので、協同労働という組合の考え方と結びついた。

・トークセッション。城南信用金庫顧問吉原氏の話。「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」代表としての話も面白かったが、「今だけ・金だけ・自分だけ」「過労死前提の正規か、ホームレス前提の非正規か」などという言葉が印象に残っている。城南信用金庫の動きは前から気になっていたが、こういう方が中枢にいらしたからなんだと納得した。
NPO「たすけあい大地」をやっている中手氏の話。事業としてやっていくためには赤字を出さない、経営を考えねばならないといった現場での悩みが伝わってきた。クッキープロジェクトにも通じる悩みだと思った。目の前の人が喜んでくれるそれを糧にやっているという言葉が残った。

「自由の森学園」菅間氏の話。「競争の教育→競争に勝ち抜いたものが社会を作っていく」「どんなことがあっても大丈夫、何度めげても立ち上がれる社会に」やはりすべての原点は教育だと思った。道徳までが点数化され、異質な人たちをどんどん排除していくような教育環境では協同労働に賛同して活動につながっていく人間は育たないだろうと強く感じた。

・リレートーク。若尾さんが感じたように特に印象に残ることはなかった。埼玉県周辺ではわっぱの会や箕面の豊能障害者労働センターのような事業所はないのですね。
以上です。

傳田ひろみ


感想です。

はじめの理事長の基調講演が良かった。経営と労働者と資本、なんだか大学のマルクス経済学を思い出す内容。NPOをつくると、規模がちいさく、言い出しっぺが理事になり、あせもかく。その時、労働の対価を賃金として払おうとしても、法律上とてもむずかしい。役員は定額報酬以外みとめられないし。雇用保険に入るにも難儀する。税法と労働法の齟齬ありで。経営に参画してほしいのに、理事を降りてもらうことも、検討したりしなければならないことも出てくる。

ただ、ワーカーズになると、労働者の意見が強くなりすぎ、労働者を守るために、必要ない仕事まで作り出しそうな気もする。いずれにしても、職場での話し合いをうまく全員参加でもてる技法がワーカーズにあるなら、それを広めるのもワーカーズの役割かなと思いました。

ちなみに、リレートークの事例は、ワーカーズでなくてもできそうなことばかりで、特徴をいまいちつかめずでした。10年前の市民集会は、実は私が司会をやりました。労協だけじゃなく、NPOや多様な主体が参加してました。今回はどうだったでしょう。連帯について、もうすこし暮らし言葉になると、広がりますかね。NPOもそうですが、資本家を悪者呼ばわりしても自体は変わらず。どうしたらいいかしら。
若尾 明子



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