『スキャナーズ』(1981)「脳みそバーン!」は衝撃的でした。

 鬼才、デヴィッド・クローネンバーグ監督の1981年製作作品です。なんとも言えない寒々しい映像、対決シーンの不気味な静けさ、そして映像描写の凄まじさに、当時は驚きでした。いわゆるサイキックなどの超能力を扱った映画の中では、かなりレベルの高い作品なのではないでしょうか。
 
 まさに実写版『バビル二世』です。中学か高校のときにはじめて見ましたが、その時の印象は「脳みそバーーーーん!」とメンチの切りあい(関西では睨み付けあうことをこのように申します)がとても新鮮で、「面白いなあ〜〜。」という素直な感じでした。

 二年ほど前に急に見たくなり、あちこちのツタヤで探しまくり(その時に、一緒に『ブラジルから来た少年』も借りました)、早速家に帰ってから、二本立てで見まして、その二作品の「濃さ」に改めて感心してしまいました。

 そんなにお金をかけている風には見えませんが、アイデア勝負で押しまくる姿勢が良く出ていて、好感の持てる佳作であると思います。近頃の、金だけはやたらとかかっている無意味な作品とは、目指す方向が180度違っているかんじがとても心地よいのです。

 作り手が作りたいものを作っているのはよい事で、予算さえ潤沢にあったならば、クローネンバーグ監督もまったく違ったものを作りたかったかもしれませんが、えてして金の無い時代に製作されたもののほうが、作家個人の個性と情熱が良く出ている気がしてなりません。

 スピルバーグ監督の『激突!』しかり、タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』しかりです。「金をくれ!金が足りない!」と言う前に、「アイデアを出してくれ!」と言いたくなるリメイクだらけのくだらないハリウッドの現状です。

 そういえば照明の感じが、この映画はどことなくタルコフスキーの『ソラリス』にも似ているような気もしました。できるだけひとりで、深夜に見たほうが楽しめる作品ではないでしょうか。のちに続編が二本作られましたが、全く無意味なものであり、記憶にも残らないほどの駄作でした。『スキャナーズ』の名前がついているので、期待して見たのですが、とても残念な結果に終わりました。

総合評価 76点

スキャナーズ DVD-BOX デジタルニューマスター版

最近の画像付き記事