vivo X23がLinux Kernelに手を加えはじめたが……ライセンス問題になるか?それとも?

PC Watchの記事であるが、昨年は台湾ASUS中心だった記事が今年は中国陣営に変わったのは、お金の絡みもあるのかもしれないと思ってしまう。今年は明らかにトランプ政権の影響により、中国メーカーは日本にマーケットの軸足を移し、北米、豪州、EUの一部地域との関係悪化分をこっちで補うつもりなのが見えてくる。


その一方で、AOSPを介さずにLinux Kernelを変更しているという辺り、性能だけが目的ではないのは明確だろう。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1141982.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1141724.html

そして、この記事をImpressが上げてくれなければ、きっとこの問題は提起されなかっただろう。


<基本的には検閲向けの修正もある>

中国では、検閲が標準化している。特に国内向けスマートフォンには全て標準で検閲が掛かっている。そのため、UIやOS内部にグローバル向けにはない仕様が加わっていることは、知られている。Google Playを使わないAndroidモデルも多く、その名残がAndroidベースの××UIなどの名称を持つユーザーインターフェース(スペック表にはOSとして記載されている)である。

これは、差別化ではなく社会主義と監視のための機能を隠蔽しているという意味でもある。
尚、グローバルモデルでは、検閲機能が原則無効になっているわけだ。が……


<カーネルを触ると言うこと>

は、AOSP(Android Open source Project)とLinux(Linus Torvalds and thousands of collaborators)でも行っている。これらのOSはGeneral Public Licenseと呼ばれるライセンスはプロジェクトに帰属する形であるが、原則フリー公開である。しかも、GPLで開発する場合や利用して改変する場合には、要求に応じてソースを必ず公開しなければいないため、知的財産に関係するコードをこれに組みこむなら、その内容を公開しなければいけなくなるという弊害によって、後から痛手を食うこともある。

そのため、ビジネス戦略上、使われないコードも沢山ある。要は、WindowsやMacOS(NEXTSTEP)で使っている最適化手法と同じ物をLinuxに使うことは出来ないというわけだ。

そこで、一部で独自の設計をする場合にはGPL linking exception(通称GPL+)という条項を追加し、LGPL(Lesser Generic Public License)という形で有償非公開のモジュール追加を認めている訳だ。
これを利用すればある程度、改変が出来る訳だが……おかしい部分があるのだ。


本来なら、これはAOSPやLinuxの開発フォーラムで行った方が、市場成長が進み、安定性や信頼性が向上する。何故か?LinuxのKernelは現在最新の4.18と同じ4シリーズだけでもカーネル世代が19世代ある。4.00〜4.18というバージョンまである訳だ。最初の世代が2015年公開で3年で19のマイナー更新が行われている。現在4.19という20世代目もRelease Candidate 2に更新されており、来月〜再来月には正規化されるだろう。

そのぐらいペースが速いため、下手にカーネルに改変を加えると、後継のバージョンでの互換性問題が生じやすくなる。もちろん、AOSPを使わずKindle /Fire OSのような改変していれば別だ。

また、GPL+で変更できるコードは限られており、全てではない。そのため、実は多くを触ることは出来ない。Kindle等はAOSP枠に抵触しないように改変を掛けているとされる。そうしなければ、公開要求が出たり、知的財産権の侵害で訴訟になる恐れもある。それらのチェックが大変なのだ。

では、そこまでしてカーネルを弄るのは何故か?というと単純だ。これは推測になる。

カーネルは演算の伝達をするのにも重要だが、Protection Ringのより上位にあるTrustZone/Virtualizationなどにもアプリケーション層を利用せずアクセス出来るOS唯一の場所であるため、いろいろと隠蔽が行いやすい。端的に言えば、ファームウェアに改変を掛けると、カーネル経由で処理する工程を確認するとバレることがあるが、Kernelにログを残さないように隠蔽処理を掛けて、コード暗号化や分散の命令を付与しておくと、全く何にも残らないステルスな情報収集が出来るようになる。

まあ、メーカーは近年ユーザーに同意を得た上でフィードバック機能をOSに搭載するモデルも多くある。それにカーネルで収集している何かを加えるのは簡単になる。それを行う際に最も効果的なのが、カーネルの最適化と一緒にそのコードを加えることになる訳だ。


と開発者なら考える人が多いだろう。

何よりおかしいのは、GNU GPL(GPLv2/GPL+/LGPL)を大半で適用しているLinuxのカーネルで2割もソースコードを変更しているのに、その情報を先行で出していないなら、怪しい。普通は要求によって開示するのではなく、先に開示を掛けるケースが多い。大きく修正して性能が向上しているなら、その情報は利用に当たって開示しなければならないという義務が生じている部分があると同時にそこまで性能が上がっている場合は、本来フリーではない商用のOSに使われているコードをGPL製品に使っている恐れが残るからだ。
それらがクリアであることを先に証明するのが一般的なのだ。

それをやらないということは、中華系メーカーにとってそれをやらないと困る何かがあると見られても仕方がない。穿っているのではなく、現実にそういう話になる。だから、欧米や豪州で中華系の機材調達に制限が掛かるようになるわけだ。オープンソースプロジェクトの製品を開発するということは、そもそもみんなでソースを公開して共有し財産化し、その代わりそれを使う権利を得ると言うことである。

これで、中国メーカーは凄いという人が日本や世界に増えなければ良いが……


<ハードウェアに最適化するなら自社開発のOSを使うべき>

そもそも、ハードウェア専用に最適化するなら、自社が最初から開発したOSを使うのがベストだ。最低でもAmazonのKindleやFireが使っているFireOSやKindleOSのようにAOSPから外れた(端的に言えばGoogle Playがグローバルでも使えないなどAndroidの枠から外れた)製品を作るのがベストだ。しかし、これはAndroidですLinuxカーネルを弄って高速化していますという製品だ。それはちょっと無理があるだろう。

その手法が発表以前にAOSP等に先行公開されていないとしたら、開発に協力しているGoogle、ソニー、Xiaomi(中国メーカー)、SHARP、ASUSなどが共同で出資し開発している技術を勝手に使いその上、自分達の情報は出さずに最適化しているという話になる。しかも中華メーカーである。これを見ると、同じ事をやっているかどうかは分からないが、先日発表されたHUAWEI製品もスペックの割に怪しく見えてくる。

こういう部分が、中国企業に対して欧米の諸外国企業や政府が懸念しているのだと、気が付いてほしいものだ。日本はそういう点をあまり報道もしないので、結構受け入れられているが、例え、一部の消費者がこれが良い物だと言っても、Linux系やAOSP系のカーネルを2割も弄って自社だけ性能が上がったと喜ぶのはあり得ない。
そういうタダで自由に自分がカスタマイズして良いライセンス形態ではないのだから。


これらのOSのカーネルはGPLやLGPL(GPL+)に基づく開発者同士の共有財産であり、その財産に変更をもたらす以上、要求によってまたは予め公開しなければいけないという義務が生じる部分が多い。これは、消費者も知っておくべき事だろう。むしろ、消費者がこれを知らないと、不正な中国メーカーが日本市場に参入し、情報を搾取されたり中国本土のクラウドに日本のデータが集まるという結末もあり得る。

個人的に、まだ中国メーカーでまともなのはAOSPをおおよそ守って順当な開発をしているXiaomiだと思うが……性能指標などもAndroidの純粋なパフォーマンスを出しているからだ。逆に怪しいのは、昨日の記事で何故か、Snapdragon 845より高速と書かれたKirin 710を搭載したスマホを発表したHUAWEI(この会社はOSレベルの変更を言及していないが、ZTEが止められる以前から欧米とオセアニアでは最も怪しいとされている)まで怪しく見える程度に、この発表はヤバい話だ。


最近は中国陣営を多少は良くなったのかなと見ていたが、ただ巧妙化して証拠が隠蔽されているだけという可能性が高まってしまった。欧州や豪州でも最近、中華系の評価は軒並み落ち始めているが、トランプ政権の影響かなというところで留まっていた。しかし、こうなってくるとそうじゃないかもしれないと思えてくる。それはとても残念な話だ。そうじゃないとソースコードを公開して、示してくれるなら良いが示さなければ黒だろう。それまでは、このメーカーのスマホを選ぶのは危険だと私は考えている。








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