石原慎太郎都知事殿〜戦争をネタに美談を語るのだけは、やめてもらいたい

 石原慎太郎東京都知事が、東日本大震災の被災者に配慮して、花見宴会を自粛するよう求めたのだそうだ。既に、都内の主要公園では花見宴会をしないよう求める看板が立っているのだそうだ。

 わからない。「被災者に配慮するために宴会自粛」という論理構成が、まったく理解できない。節電のために桜の木のライトアップを中止するというのは、しょうがない。被災地に送ったため仮設トイレを設置できないというのも、納得できる。が、それでも宴会をやりたい人は、ゴミの始末だとか周囲に迷惑をかけないこととかは当然として、やればよいものを、なぜお上が「やっちゃいかん」と命令するのか。まるで、戦時中じゃないか。

 戦時中と言えば、許せないのは「(太平洋)戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」という石原の発言だ。どういう事実認識で、こういうことを言っているのか。

 東京大空襲を思い出していただきたい。あのときの東京はどんな状況だったか? 全国から支援物資が届いたか? 被災状況が全国に伝わったか? まして、世界から支援の手が差し伸べられたか。空襲被害者が、被害を免れた人たちからどんな差別を受けたのか、忘れたのか。

 東京だけではない。日本中で何百万人が家を焼かれ、肉親を失ったか。農村に疎開した子どもたちが、疎開先でどんな思いをしたのか、忘れたのか。疎開学童にロクに食糧を供給せず、自分たちや自分たちの子どもにはたらふく食わせていた農家が大勢いたのを、知らないのか。中でも悲惨だったのが、広島や長崎の原爆被害者だ。根拠のないデマで周囲からどんな目で見られたか、忘れたか。

 さらに、戦後の食糧難。救援物資が無償で大量に出回ったのなら美しい話だが、農家や商人の多くが、食糧のみならず米軍の物資までも溜め込んで闇市でさばき、しこたま儲けたのを忘れたのか。庶民の困窮をよそに、朝鮮戦争特需で私腹をたっぷり肥やした者が大勢いたことを、知らないのか。戦争は「国難」だ、などと言われるが、家を焼かれ、家族を失った人たちが国がどう支援したのか。国民がどう助け合ったと言うのか。圧倒的多数の戦争被害者が、まともな支援を得られずに苦難の道を強いられたという事実があるのに、「あの時の日本人の連帯感は美しい」などと、よくも言えたもんだ。

 石原慎太郎都知事よ、頼むから、戦争をネタに美談を語るのだけは、やめてもらいたい。


花見は自粛を=被災者に配慮必要−石原都知事
 東京都の石原慎太郎知事は29日の記者会見で、東日本大震災に関連し、「桜が咲いたからといって、一杯飲んで歓談するような状況じゃない」と述べ、被災者に配慮して今春の花見は自粛すべきだとの考えを示した。
 石原知事は「今ごろ、花見じゃない。同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感が出来てくる」と指摘。さらに「(太平洋)戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」とも語った。
 都は既に、花見の名所となっている一部の都立公園について、節電などのため入園者に宴会自粛を呼び掛けている。(2011/03/29-19:12)






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