『駄ジャレの流儀』

『駄ジャレの流儀』 小田島 雄志 講談社文庫
 「駄ジャレ」なんてオヤジギャグみたいなものと言う無かれ。単なる「駄ジャレ」を連発しているだけでなく、その奥には深〜い技術があるという事を本書では解説している。

 各章のタイトルも「基礎編」「理論編」「実践編」「技術編」「酒友編」「自(信?)作編」と学術的雰囲気を出している。何せ著者は東京大学名誉教授である。駄ジャレを言いながらも学問の研究をしている。

 各章の中でも少々学術的な心を抽出してみたい。
「chapter7 技術編〜駄ジャレをいかに?〜」で駄ジャレを創作するときの技術を語っている。方法論というものは、一般化される事によって、多くの人に伝わっていくものである。それで、誰でも思いつく方法でできている言葉の遊びは、言い古されて新鮮味というものが無くなっていく、それでも、どんどん新しい言葉や概念が生み出されていくので、駄ジャレのネタは尽きることがなさそうである。

 さて、本書で紹介されている作り方を簡単に紹介する。
(1)五十音図を使いこなす
 「かも」という言葉で駄ジャレを考えるとき...
 @「か」のかわりに「あ段」の字をおいていく。「あも」「さも」「たも」……
 A「か」のかわりに「か行」の字をおいていく。「きも」「くも」「けも」……
 B、Cは「も」を変化させる
 D「かも」の上に五十音をおいていく。「あかも」「いかも」「うかも」……
 E「かも」の下に五十音をおいていく。「かもあ」「かもい」「かもう」……
 F「かも」の上下に五十音をおいていく。「あかもあ」「あかもい」「あかもう」……
 著者は「これをやっているとそのうちに日が暮れる。だからあまり律儀にやらないで、カンでなさそうなところはどんどん飛ばして、(将棋の谷川の「光速の寄せ」のように)一気に最後まで読み切ってしまうのである。」という。
 このやり方だと、コンピュータでもプログラムできそうである。元の文章を入力してあげて、それを単語に分解してあげる。分解された単語を順次置き換えて別の単語にあてはまるかどうかを確認する。うまく当てはまるものがあったら、それを「駄ジャレ候補」として出力する。というようなプログラムだ。このプログラムの肝は単語、熟語、慣用句の辞書だ。アルゴリズムは上のような感じであるが、後は総当りで検索する必要があるので比較処理に用する性能とできた結果が面白いかどうかを判断する人の眼ということになる。一昔前の「かな漢字変換」機能の誤変換では、傑作があったものだが、最近の「かな漢字変換」は賢すぎて面白みは減っている。関西弁「かな漢字変換」というものがあるくらいだから、「駄ジャレ」モードをつけることも可能だろう。

 辞典を使ってコンピュータにある程度やらせるとすれば、著者が次にあげている方法もプログラミングできそうだ。
(2)逆引き辞典を活用する
 あることば「ぶどう」ならその一部の「どう」を使った単語を逆引きでひくといろんな言葉の変化がでてくる。
 ネットの検索でカタカナ表現を多少間違った綴りで検索しても別の正しい綴りではないのかと示唆してくれるのもこのような仕組みによるものだ。
(3)空中瞬間接着剤の術
 会話の中で、でてくる二つの言葉を瞬間にくっつけて別の意味の言葉にしてしまう技である。
 これも知識が豊富であることが要求される。
(4)空気投げの術
 著者の表現では『ボクシングでいちばんみごとに「決まった」と感じられるパンチは、相手のストレートを顎先三ミリのところでかわし、その顔面にカウンターをたたきこんだときである。柔道でいちばん「芸術的な技」とぼくが思ったのは、相手の投げをかわしながらその力を利用して逆に投げをかける三船久蔵十段の「空気投げ」である。……。駄ジャレの高等技術にも、相手の攻撃をかわしての反撃、という技術がある。』
(5)三手の読み
 『将棋などのゲームの基本技術に、「三手の読み」がある。こちらが4五歩といく、相手が同歩と応じる、そこで同桂とはねて決める、というように。これはまた駄ジャレ技術のトップにランクされるものでもある。』
 つまり、相手に簡単な質問をしてその答えに対して駄ジャレを返すというものである。

 世の中に駄ジャレが多用されているのは、スポーツ新聞かと思うがテレビのタイトルの副題なんかにもよく出てくる。今夜の深夜番組のNHKの「今夜も生でさだまさし」は、岡山からである、サブタイトルは「お〜かやま いいぞう!吉備といつまでも」である(この駄ジャレにすぐについていける世代がこの番組の視聴世代なんでしょう。理解できない人は年配の人に聞いてみよう)。
上に掲げた技術を屈指してサブタイトルを作っているのがよく解る。ちなみに、この番組は毎月全国のNHKの放送局を回って、生放送で視聴者からの葉書を紹介しつつ、さだまさしがコメントしていき、たまに歌を披露するという番組である。
さだまさしは、大学のとき落研だったくらい、言葉巧であり、それは、この番組にでも効果をあげている。






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コメント (1)
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
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